【今日の1冊(文学)】三笠山「忌中に掲載」(車谷長吉)
2011年07月01日
なみログ at 13:45 | 今日の1冊
車谷長吉(くるまたにちょうきつ)は、日本の純文学作家だ。
「赤目四十八瀧心中未遂」、という直木賞受賞作が有名で、この小説はここ二十年で読んだ小説の中でも、五指に入る名品だ。
さて、そんな車谷の文庫に、「忌中」というのがある。文庫のタイトルにもなっている「忌中」という短編も、もちろん良いが、この文庫の中ではなんといっても「三笠山」が、圧倒的に良い。怖いくらい。
話の筋は、あぶく景気(バブル景気)がしぼんだあとの、大阪のサッシ屋の社長夫婦が、子どもを道連れにして三笠山で心中をするというもの。
ほんとうにこれだけが筋なのだ。
子どもを道連れにして心中をするというもの、
と書いてしまえるほど、あっけなく物語りは終わる。
なんともいえない、人間の恐ろしさを感じる小説だ。
※京都競馬場の菊花賞で8倍オッズの馬連に、50万円を1点張るところは、ほんとうに良く描けている。
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