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【今日の1冊(文学)】太市(水上勉)
この短編アンソロジーの中に収録されている、水上勉の「太市」。
これは、一読をおすすめする。これまでも、多くの価値感を脅かされる文学作品に出会ってきたが、この短い物語の中に、何ともいえないせつないというか、もの悲しさと、また、怖ろしさを感じる。
似たような感慨を抱いた小説に、イギリスの作家アラン・シリトーの「フランキー・ブラーの没落」という短編がある。フランキー・ブラーの没落を何度も読んでいたからこそ、太市の話が、予定調和的に悲しみを誘発したのかもしれない。

これは、一読をおすすめする。これまでも、多くの価値感を脅かされる文学作品に出会ってきたが、この短い物語の中に、何ともいえないせつないというか、もの悲しさと、また、怖ろしさを感じる。
似たような感慨を抱いた小説に、イギリスの作家アラン・シリトーの「フランキー・ブラーの没落」という短編がある。フランキー・ブラーの没落を何度も読んでいたからこそ、太市の話が、予定調和的に悲しみを誘発したのかもしれない。

【今日の1冊】戦争×文学(集英社)
【今日の1冊(ビジネス)】出版大崩壊(山田順)
時代の移り変わりは早く、日本も遅かれ早かれデジタルブックの時代になるだろう。
しかし果たしてその先にある芸術社会というのはどのような社会であるのか。
本書のコンテンツ産業、あるいはクリエイティブ側の救いとして、これからはリアルやライブの価値が見直されるという指摘があった。
しかしそのような本質的な芸術の価値を、デジタル化にまっしぐらに突き進む今現在の立場で、片方でその価値を育て上げる仕事というのは、いろいろな意味で困難を極める。
豊かな芸術作品が次々と生まれ、私たちがそれを享受し続けることのできる社会を失わないようにしなければならない。
【今日の1冊(文学)】きりぎりす(太宰治)
滋賀県の地域ブログ運営会社の社長と、新規事業の協力依頼で打ち合わせ。
大いに盛り上がった。ぜひ実現させていきたい。
さて今日の1冊は太宰のきりぎりすという文庫から。
どの短編も面白い。
表題の「きりぎりす」。
太宰自身の成金芸術家になることに対する卑下や自虐的精神から、妻の告白体の形を借りて自己批判をする小説。
芸術家が純粋に芸術活動することの理想的な生き方とは、果たしてどうあるべきなのか。
妻から見る太宰を投影したと思える夫の所業とその意図は果たして太宰そのものの振る舞いなのか それとも妻にはすべてがそう見えているだけなのか
夫の立場から妻を見る視点を想像すると、また違った読み方ができる。
【今日の1冊(文学)】風に吹かれて(五木寛之)
五木寛之の『風に吹かれて』。
いまも売れ続けている(?)、読み継がれている、エッセイのベストセラーだ。昭和45年が初版ということで、僕の生まれる前に書かれたエッセイである。
大学生のときに、五木寛之のエッセイに出会い、数々のエッセイを読んできたが、『風に吹かれて』は、谷川雁の『原点が存在する』ではないが、まさに五木寛之エッセイの『原点』だと、つくづく思う。
昨夜パラパラとしていたら、「サーカスの歌悲し」という標題に目が留まり、そこを読んでみた。数年ぶりに開いたので、内容はまったく覚えておらず、新鮮な感覚で読むことができた。
内容は、ここでは書かないが、その中の一文にこのような五木寛之の問いかけがある。
「・・・いま、戦後二十二年を経て、私たちの周囲は、声高に叫び合う活気のある声に満ちている。その世界の片隅で、ひっそりと自分だけのつぶやきを呟く、孤独な兵士たちのことを私たちは忘れ過ぎてはいないだろうか。」
現代の<孤独な兵士>は、私たちの周りにもいるであろうし、僕の仕事はそもそもそのような声を少しでも社会や世間に届くようにするということも目的ではなかっただろうか、と思い直す。
【今日の1冊(文学)】三笠山「忌中に掲載」(車谷長吉)
車谷長吉(くるまたにちょうきつ)は、日本の純文学作家だ。
「赤目四十八瀧心中未遂」、という直木賞受賞作が有名で、この小説はここ二十年で読んだ小説の中でも、五指に入る名品だ。
さて、そんな車谷の文庫に、「忌中」というのがある。文庫のタイトルにもなっている「忌中」という短編も、もちろん良いが、この文庫の中ではなんといっても「三笠山」が、圧倒的に良い。怖いくらい。
話の筋は、あぶく景気(バブル景気)がしぼんだあとの、大阪のサッシ屋の社長夫婦が、子どもを道連れにして三笠山で心中をするというもの。
ほんとうにこれだけが筋なのだ。
子どもを道連れにして心中をするというもの、
と書いてしまえるほど、あっけなく物語りは終わる。
なんともいえない、人間の恐ろしさを感じる小説だ。
※京都競馬場の菊花賞で8倍オッズの馬連に、50万円を1点張るところは、ほんとうに良く描けている。
【今日の1冊(文学)】何とも知れない未来に(日本ペンクラブ編
何とも知れない未来に(日本ペンクラブ編、大江健三郎選)。
この文庫に掲載されている小説は以下である。
心願の国、夏の花(原民喜)
かきつばた(井伏鱒二)
或るとむらい(山代巴)
ほたる(大田洋子)
雲の記憶(石田耕治)
手の家(井上光晴)
色のない画(佐多稲子)
儀式(竹西寛子)
氷牡丹(桂芳久)
人間の灰(小田勝造)
死の影(中山士朗)
空罐(林京子)
太平洋戦争、戦後に関することを書いた小説アンソロジー。
これも、1冊は手元に置いていてよい短編集だ。
【今日の1冊】飢餓海峡(水上勉)
飢餓海峡は、水上勉が書いた快作だ。
小説を読んでいないひとはぜひ、土日に時間を作って読んでみてほしい。
小説は、ほとんど完璧に仕上がっている。
そして、映画はというと、
以下は、以前見た映画の感想。(ちょっと辛く批評してしまった)
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正直イマイチだった。
三国連太郎は、よかった。
何がいけなかったのか、原作を読んでいるので、ストーリーのあらましは知っているわけだが、それが仇となったのか、冒頭から説明が過ぎてしまい、なにか弁士による無声映画を見せられているような、紙芝居を見せられているような、そんな感じがした。
しかし、説明がなければ、話の筋も掴めないかもしれないので、なんともはがゆい感じがするが。
それから、ほぼ原作通り、津軽海峡での遭難事故、大火、杉戸八重の十年、犬飼多吉の十年と犯罪、が網羅されており、平均的に描かれている点では筋が分かりやすかった半面、どうしても伝えたいところがどこなのか、監督の思いが希薄になってしまった感が否めない。
いっそのこと、前半の遭難事故と大火あたりははしょってしまい、十年たった今と、犬飼多吉の歩んだ壮絶な前半生をもっと深く描いた方がよかったのかもしれない。
もちろん、八重だって壮絶な前半生を生きているわけで、どちらの立場にたったとしても心を打つ作品には仕上がると思う。
原作を読んだかぎりにおいては、飢餓海峡は、津軽海峡を指すだけではなく、犬飼多吉こと樽見京一郎の、虐げられた故郷での極貧の生活、北海道の過酷な自然条件に涙をのんだ開拓生活。そのすべてが、かれの飢餓海峡であり、八重の前半生もまた飢餓海峡の連続でもあったということだと感じる。
ラストシーンでは樽見京一郎(三国連太郎)が、津軽海峡を渡る連絡船の上から海上に身を投げて終わるのだが、なんともいえない後味の悪さだけが残るだけで、三時間の映画の中に、ぼくはどこにも救いの光を見つけることができなかった。
【今日の1冊(文学)】自選中篇集(丸山健二)
今日の1冊は、丸山健二の自選中篇集だ。
結構、分厚いので紹介するには抵抗があったが、この中には、芥川賞を当時最年少で獲った、『夏の流れ』や『正午(まひる)なり』、『イヌワシのように』などが掲載されている。
中でも僕のおすすめの作品は、『アフリカの光』である。
佐賀県出身の映画監督である神代辰巳監督により映画化された作品で、二十歳そこそこの主人公二人を演じるのが、萩原健一と田中邦衛という、いま想像すると異色のコンビだが、二人に息はぴったり合っていて面白い映画だ。
【今日の1冊(ビジネス)】成功はゴミ箱の中に(レイ・ロック)
今日の1冊は、レイ・ロック/ロバート・アンダーソン著の、日本語タイトル「成功はゴミ箱の中に」。
サブタイトルが、「レイ・ロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男 -マクドナルド創業者-」
となっているので、もうみなさんも分かるだろう。
マクドナルドは、知っている人も多いように、マクドナルド兄弟が始めたものだが、現在のようにチェーン展開をするビジネスモデルに変え、成功させたのは、レイ・ロック。この人物だ。
この本はマクドナルドとの出会いから(といっても彼は味もさることながら、そのスタイル・・郊外のドライブイン形式や、ハンバーガーよりも、フライドポテトに感激した)、チェーン展開、フランチャイズ、グローバル展開までを分かりやすく知ることの出来る本だ。
さらにサブタイトルにもあるように、マクドナルドというブランドチェーン店の下に、数々の納入業者、生産事業者、関連事業者が立ち上がり、そのなかで億万長者になった経営者も少なくない。というか、多い。
アメリカ型のチェーンストアのグローバル展開には、経済的な側面以外にも、社会的な側面からも賛否両論があるが、良い面、悪い面も含め、マクドナルドがどのようにして拡がっていったかを知っておくには、分かりやすい本だ。
楽天市場が行っている「楽天大学」なる店長勉強会も、「マクドナルド大学」を倣ったものだ。
【今日の1冊(文学)】二十日鼠と人間(スタインベック)
今日の1冊はスタインベックの「二十日鼠と人間」。
もっさりした大男のレニーと俊敏で頭の回転も速い小男のジョージ。
カリフォルニアの開拓時代、農場を渡り歩く二人がある土地で過ごした日々を描いた作品
自分たちの農場を夢見ているがその日々が二人で夢を語る最期の終着地となる。
映画化もされたので映画見た人もいるだろう。
流れ者が新天地を求め過酷な労働に耐えながら悲惨だけれども返ってそれが人間らしく生き生きとした青春を物語るエピソードは、丸山健二の初期の好中編である「アフリカの光」と同じ構図だ。
ノーベル文学賞作家のスタインベックにいえた身分ではないが人間の描き方はアフリカの光が勝っているかな。
それはそうとして、二十日鼠と人間も十分に心を打つのでまだ読んでいない方にはお勧めする。
また知っている人がほとんどかもしれないが「エデンの東」はスタインベックの小説である。
【今日の1冊(文学)】異邦人(カミュ)
今日の1冊は、アルベールカミュの『異邦人』。
異邦人は本棚に二冊あった。。
さて、異邦人である。
<不条理>の殺人を冒してしまったとされるムルソー。ムルソーの人間性は、それまでの価値観にはない、非認知の人間として描かれたと解釈されているようだが、芸術の持つ<既存の価値観を脅かす>ものとしての人物像を創造することに成功したカミュの試みには敬服する。
果たして文学とはなにかと問われたときに、それはいくつも答えはあるし、間違った答えがあるのかどうかさえ疑わしいが、文学の持つ力に、新しい人間像や知らなかった価値観を描き出し、世に問うていくという力を期待するのであれば、カミュの『異邦人』はそういう文学としては最高峰の文学<であった>のかもしれない。
【今日の1冊(文学)】十九歳の地図(中上健次)
今日の1冊は、中上健次の初期の代表作である、十九歳の地図だ。
僕たちの世代(ちょっと上も)は、尾崎豊の「十七歳の地図」という歌が思い浮かぶ人が多いと思う。
ウィキペディアによると、中上健次のこの小説からタイトルを得たということが書かれている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%B8%83%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%9C%B0%E5%9B%B3_(%E6%9B%B2)
僕は、大学生のときにこの小説と出会った。僕の場合は、その頃坂口安吾を本屋に売っているものは、かたっぱしから読んでいて、そろそろ別の作家となったときに、たまたま中上健次のこの本を手に取ったような記憶がある。
その後、中上健次を中心として世代を一つさかのぼると大江健三郎、一つ進むと村上龍という具合に、中上健次の文学との出会いは、この現代文学の一つの潮流を知るきっかけになった。
この小説は十代後半。高校生でも中学生でもいい。高校生のときに中上健次文学との対話ができるのであれば、それはとても素晴らしい体験だと思う。
生き方についてあれこれ考えすぎると、将来は心配になるけど(笑)
【今日の1冊(ビジネス)】ゴール(ブライアン・トレーシー)
今日の1冊は、ブライアン・トレーシー著の「ゴール」

いわゆる自己啓発のビジネス書。
数年前に買って、もう何度も読み返している。
(というわりにはまだボロボロではないので、いえた柄ではないが。。また、この本は風呂にも落としてはいない。)
ビジネスパーソンとして成功するためのよく聞く心構えを分かりやすく書いたものだ。
実際にここに書かれているものは、決して珍しいものでもなく、書かれていることの多くは、<思考は現実化する>という名著がすでに触れていることでもある。
若いビジネスマンには読んでいて損はない一冊か。できれば二十代に読みたいところだ。三十代半ばで読むと少なからずショックを受ける。取り返すことのできない時間の、なんともったいないことだったかと。。(泣
しかし、いつのときに読んでも、読んだそのときが<今>であり、<行動する>こと自体は、いくつになっても遅いということはない。
いわゆる自己啓発のビジネス書。
数年前に買って、もう何度も読み返している。
(というわりにはまだボロボロではないので、いえた柄ではないが。。また、この本は風呂にも落としてはいない。)
ビジネスパーソンとして成功するためのよく聞く心構えを分かりやすく書いたものだ。
実際にここに書かれているものは、決して珍しいものでもなく、書かれていることの多くは、<思考は現実化する>という名著がすでに触れていることでもある。
若いビジネスマンには読んでいて損はない一冊か。できれば二十代に読みたいところだ。三十代半ばで読むと少なからずショックを受ける。取り返すことのできない時間の、なんともったいないことだったかと。。(泣
しかし、いつのときに読んでも、読んだそのときが<今>であり、<行動する>こと自体は、いくつになっても遅いということはない。